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「年収が同じでも、残る額は違う」。港区が独自の所得制限に向けた調査を開始

提案段階調査の実施が発表された段階です。結果をもとに今後の制度を検討するとされており、所得制限そのものが変わると決まったわけではありません。

年収が同じでも、家賃と教育費を払ったあとに手元に残る額は、住む場所によって変わります。港区が今月、その「残った額」を調べる調査に入ります。区民5,000人に調査票が届きます。

狙いは、区独自の所得制限をつくるための土台づくりです。区の資料は「生活コストを踏まえた所得制限の調査研究は全国初」としています。

調べるのは、引いたあとに残る額

区の問題意識は資料にはっきり書かれています。「住宅費や教育費などの負担が大きい都心部では、可処分所得から基礎的支出と教育費を差し引くと生活資金が全国を下回るなど、所得額だけでは実際の暮らし向きや支援ニーズを十分に捉えられない可能性がある」。

額面の収入が同じでも、そこから引かれるものが大きければ、実際に使える額は小さくなります。全国一律の所得基準ではその差が見えない。だから引いたあとの額を調べる、という組み立てです。

示された数字と、その但し書き

根拠としてスライドに載っているのは、総務省「全国家計構造調査」をもとにした2024年の比較です。二人以上の世帯の、1世帯1か月あたりの生活資金。可処分所得から基礎的支出と教育費を差し引いた額です。

区分生活資金(1世帯1か月)
全国264,919円
東京都267,898円
特別区257,746円
区部センターコアエリア248,983円

いちばん下の区分は、全国より約16,000円低い。区はこの数字をもとに「港区の生活資金は全国を下回る」と書いています。

ただし、このグラフに港区単独の数字はありません。最も低い「区部センターコアエリア」は、千代田区・中央区・港区・新宿区・文京区・台東区・墨田区・江東区・渋谷区・豊島区・荒川区の11区をまとめた圏域(全国家計構造調査における都道府県内経済圏)の値です。港区だけを取り出した数字は、今回公表された資料には出てきません。

9月、5,000人に調査票が届く

調査を実施するのは港区政策創造研究所です。調査名は「港区における家計消費の実態と支援の考え方に関する調査」。

項目内容
対象郵送5,000人(18歳以上の区民から無作為抽出)、インターネットモニター1,000人(他自治体在住者を含む)
回答方法調査票を返信用封筒で返送するか、二次元コードからインターネットで回答
時期令和8年9月上旬から9月下旬まで(予定)

設問は5つの柱です。回答者の情報(居住地域、世帯構成、子どもの人数や就学状況)、収入と貯蓄と支出の内訳、経済的な負担感と暮らしへの影響、所得制限に対する考え方、そして自由回答。このうち港区の行政サービスに関係する設問は、郵送調査にだけ含まれます。

子育て世帯の家計が反映されるかは、誰が答えるか次第

郵送の対象は、18歳以上の区民から無作為に選ばれた5,000人です。子育て中かどうかで抽出しているわけではないため、子育て世帯の家計の実態がどれだけ反映されるかは、実際に誰が答えたかによって変わります。手元に届いたら、書ける機会はここです。

調査結果は「今後の区独自の所得制限の設定や、より効果的な支援制度の検討に活用します」とされています。所得制限を実際にどう変えるかは、まだ何も決まっていません。

問い合わせ先は、企画経営部企画課(電話03-3578-2085)です。

この記事のもとになった資料
この記事は、港区が公表した資料を読んで書き直したものです。制度の内容は今後変わる可能性があります。実際の手続きや金額は、必ず上記の原典と港区の最新の案内でご確認ください。