体外受精をしたら東京都から1回最大15万円
法律婚または事実婚の夫婦が、保険診療の体外受精または顕微授精を受けたときに、1回あたり最大15万円が東京都から助成されます。令和8年4月1日以降に始めた治療は、保険診療の自己負担分と、一緒に受けた先進医療の費用の両方が対象で、先進医療を受けていなくても申請できます。 要件は、(1)治療開始日に妻が43歳未満、(2)治療開始日から申請日まで夫婦いずれかが東京都内に住民登録(事実婚は夫婦ともに都内の同一住所)、(3)先進医療を受けた場合は登録された医療機関で受診していること。全額自費で受けた体外受精・顕微授精と、人工授精などの一般不妊治療は対象外です。
- 妻39歳までは6回、40〜42歳は3回まで
- 令和8年4月以降に始めた治療から対象が広がった
あなたの場合、最大いくら戻る?
都の助成回数は、保険診療の回数(治療開始日の妻の年齢で6回か3回)と同じです。
よくある疑問
読み始めて「あれ?」と思いそうな点を、原典に基づいて先回りで解消します。
15万円って、複数の先進医療を併用しても1回15万円?
はい。「1回の治療」につき上限15万円です。SEET法 + タイムラプス + PGT-A など複数の先進医療を併用しても、合算で1回15万円が上限になります(技術ごとではなく、治療回ごと)。
2026年4月以降に始めた治療は、保険診療の自己負担額も合わせて数えます。たとえば保険診療9万円+先進医療3万円なら12万円、保険診療12万円+先進医療9万円なら15万円。高額療養費や健康保険組合の付加給付を受けた場合は、その額を引きます(例: 保険診療20万円で高額療養費8万円→12万円が対象)。個人で入っている民間の医療保険の給付は引きません。
2026年3月までに始めた治療(旧制度)は、先進医療費の70%が15万円を下回れば、その額が助成額(例: 先進医療10万円なら7万円)。
「1回の治療」って、どこからどこまで?
東京都は、1回の移植に向けて治療計画を立てた日から、移植後の妊娠判定までの一連の治療を「1回の治療」としています。採卵周期・移植周期で区切るものではないので、一連の治療を分けて申請することはできません。
治療の開始日は、原則として1回の移植に向けて初めて治療計画を立てた日です。2026年3月に計画を立てて採卵し、4月に移植した場合は、4月の分だけ新制度で申請することはできません(先進医療だけ旧制度で申請できる可能性あり)。
途中で転院した場合も1回として、転院前と転院後の両方の受診等証明書をまとめて申請します。同じ一連の治療の中の、保険診療による男性不妊治療も対象です。
既に保険診療で6回(または3回)使い切ったら?
都の助成回数は保険診療の回数に準じます。都から助成を受けられるのは1子につき6回か3回までで、令和4年度から都が行ってきた先進医療助成の回数も含みます(例: 上限6回で過去に2回受けていれば、あと4回)。6回目の治療が移植前に中止になって申請した場合、そのあと保険で移植しても7回目の申請はできません。
ただし、出産・死産があった場合は回数リセットが可能。次のお子さんに向けた治療では、新たに(年齢区分に応じた)6回または3回が使えます。死産の場合は母子手帳のコピー等で確認。
申請してから振込まで、どれくらいかかる?
旧制度のQ&Aでは、申請から約4ヶ月後に承認決定通知書が届き、その約1ヶ月後に振込。合計で約5ヶ月が目安です。東京都は「現在かなり多くの申請があり、承認決定までに非常に時間を要している」と案内しています。
振込日には連絡が来ないので、通帳記入で確認してください。新制度(2026年4月以降の治療)の電子申請では、決定通知書はLoGoフォームの電子文書で届きます。新制度の所要期間は原典に書かれていません。
対象になる先進医療の全リストは?
東京都が「現時点で告示されている先進医療」として挙げているのは次の11種です。厚生労働省から実施医療機関として指定された医療機関で、登録日以降に受けたものだけが対象です。今後追加される可能性あり。
- SEET法(子宮内膜刺激胚移植法)
- タイムラプス(胚の自動撮影による評価)
- 子宮内膜スクラッチ(局所内膜損傷による着床促進)
- PICSI(ヒアルロン酸培地による精子選別)
- ERA(子宮内膜受容能検査・次世代シークエンサー)
- ERPeak(子宮内膜受容期検査・RT-qPCR)
- EMMA / ALICE(子宮内細菌叢検査)
- 子宮内フローラ検査
- IMSI(強拡大顕微鏡による精子選別)
- 二段階胚移植法(初期胚 + 胚盤胞の段階移植)
- 膜構造を用いた生理学的精子選択術(マイクロ流体技術による精子選別)
- PGT-A(着床前胚異数性検査)
それぞれ実施できる医療機関が決まっているため、医療機関に確認してください。
夫の年齢制限・所得制限は?
年齢制限は妻のみ(治療開始日に43歳未満)。夫の年齢制限はありません。
所得制限はなし。世帯年収による不可・減額はありません。
夫婦が別居・配偶者が海外居住の場合は?
法律婚なら、治療開始日から申請日まで夫婦のいずれかが東京都内に住民登録があれば申請できます。配偶者が別の道府県に居住していても、海外に居住していても可。
事実婚の場合は、夫婦ともに都内の同一住所に住民登録が必要で、同一世帯でない場合は「申立書」の提出が必要です。
令和8年度だけの特例として、2026年4月以降に始めた治療が9月30日までに終わり、治療が終わったあと10月1日までに都外へ転出した夫婦は、申請期限までに申請できます。治療が終わる前に転出した場合は対象外です。
新制度(2026年4月以降)と旧制度、どちらが手厚い?
旧制度(〜2026年3月の治療開始): 助成は「先進医療費 × 70%」と「15万円」の低い方。先進医療部分のみが対象。
新制度(2026年4月以降の治療開始): 対象が保険診療の体外受精・顕微授精の自己負担額にも拡大し、先進医療に70%は掛けません。高額療養費と付加給付を引いた額と15万円の低い方。先進医療を受けていなくても申請できます。
たとえば先進医療10万円だけなら、旧制度は7万円、新制度は10万円。保険診療の自己負担もあれば、新制度はその分も加わります(上限15万円)。
いつ申請して、いつもらえる?
1回の治療が終わったら、年度内(治療終了の翌3月31日まで)に電子申請。
分かりづらい言葉、ほどきます
医学用語を、生活者の言葉にほどいています。出典は 日本生殖医学会 生殖医療Q&A。
先進医療とは?
保険診療と組み合わせて受けられる、効果や安全性が一定程度認められた先端的な医療技術のこと。まだ保険適用に至っていない段階で、有効性が確認されたものから順次、保険適用の検討対象になります。
費用は患者の自己負担(保険適用外)ですが、保険診療と「混合診療」として併用できる仕組み。不妊治療では、タイムラプス・PGT-A・SEET法などが告示されています(東京都の一覧は上の「よくある疑問」を参照)。
タイムラプスとは?
培養器に内蔵されたカメラで、胚(受精卵)を一定間隔で自動撮影し、培養器から取り出すことなく胚の発育状況を観察できる技術です。
取り出して顕微鏡で観察する従来法より、胚へのストレスを減らせると考えられています。不妊治療関連の先進医療では実施件数が最多。
SEET法とは?
凍結融解胚移植の前に、胚を培養した液(培養液)を子宮に少量注入することで、着床に適した子宮内環境を作り出す技術です。
胚培養液中の成分が子宮内膜と胚のコミュニケーションを促進すると考えられています。「子宮内膜刺激胚移植法」とも呼ばれます。
PGT-A(着床前胚異数性検査)とは?
胚から細胞の一部を採取して、染色体の数を解析する検査。染色体数が正常な胚を選んで子宮に戻すことで、着床率の向上、流産率の低下が期待されます。
「ピー・ジー・ティー・エー」と読みます。Preimplantation Genetic Testing for Aneuploidies の頭文字。
体外受精とは?
女性の卵巣から取り出した卵子と男性の精子を、体の外で出会わせて受精させ、数日育った受精卵(胚)を子宮に戻す不妊治療の総称です。
受精のさせ方には「ふりかけ法」と「顕微授精」の2方式があります。2022年4月から保険適用になりました。
顕微授精(ICSI)とは?
体外受精の中の受精方法のひとつで、卵子に精子を振りかける「ふりかけ法」と違い、顕微鏡下で1匹の精子を直接卵子に注入する方法です。
英語名は ICSI(Intracytoplasmic Sperm Injection、卵細胞質内精子注入法)。男性側の精子の数や運動率に問題がある場合や、ふりかけ法で受精がうまくいかない場合に選ばれます。1992年に初めて行われた技術です。
ふりかけ法(c-IVF)とは?
体外受精の中の受精方法のひとつで、採取した卵子に精子を振りかけて自然に受精させる方法です。顕微授精(精子を卵子に直接注入する方法)と対になる方式。
英語名は c-IVF(Conventional IVF)。
本制度の変更履歴
制度の新設・改正・終了をまとめています。
正確な情報はこちらから
このページは東京都福祉局の公式資料を元にしています。正式な判断は必ず原典で確認してください。